浴室の折戸や開き戸で、広く使われている、半透明の樹脂パネル。多くの場合、これはガラスではなく、「アクリル樹脂」や「ポリスチレン樹脂」でできています。軽くて、割れても飛散しにくいという安全性から採用されていますが、この樹脂パネルもまた、長年の使用によって、劣化し、交換が必要になる時がやってきます。その、最も分かりやすいサインが、「ひび割れ(クラック)」の発生です。ある日、掃除をしている時に、ドアパネルの隅に、細い亀裂が入っているのを見つけたら、それは、もはや、そのドアが寿命を迎えつつある、という、明確な警告表示です。樹脂パネルにひび割れが起きる原因は、いくつか考えられます。最も多いのが、「経年劣化」です。浴室という、温度と湿度が激しく変化する過酷な環境に、長年さらされることで、樹脂は、その柔軟性を少しずつ失い、硬く、そして脆くなっていきます。その状態で、日々の開け閉めによる、わずかな振動や、衝撃が積み重なることで、ついに、素材の限界を超え、ひびが入ってしまうのです。また、掃除の際に、研磨剤入りのクレンザーや、硬いブラシでゴシゴシと擦ってしまったことによる、表面の無数の「傷」も、ひび割れの起点となります。さらに、子供が体をぶつけてしまったり、シャワーヘッドを落としてしまったりといった、直接的な「衝撃」が原因となることもあります。小さなひび割れだからと、これを放置しておくのは、非常に危険です。まず、そのひび割れは、時間と共に、確実に、そして静かに、広がっていきます。そして、ある日、ドアを開け閉めした瞬間に、パネルが大きく割れ、破片が脱衣所に散乱する、といった事態にもなりかねません。また、ひび割れの隙間は、カビや水垢が繁殖するための、絶好の温床となります。衛生的にも、決して良い状態ではありません。パネルだけを交換することも、製品によっては可能ですが、多くの場合、パネルが劣化しているということは、ドア本体のパッキンや、戸車などの、他の部品も、同様に寿命を迎えていることを意味します。ひび割れは、ドア全体が、交換の時期に来ていることを知らせる、重要なサイン。その声に耳を傾け、より安全で、快適なバスタイムのために、新しいドアへの交換を、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
アクリルパネルのひび割れ、浴室ドア交換のサインです