キーボックスのセキュリティレベルは、その製品の物理的な強度だけでなく、あなたが設定する「暗証番号」そのものの強度に、大きく依存しています。どんなに頑丈なキーボックスでも、暗証番号が簡単に推測できるものであれば、それはもはや、鍵のかかっていない箱と同じです。あなたのキーボックスを、難攻不落の要塞にするのも、ザルのように無防備なものにするのも、全ては、あなたの番号の決め方一つにかかっているのです。まず、絶対にやってはいけない、「危険な暗証番号」の例を挙げましょう。最も多いのが、「物件に関連する数字」です。例えば、部屋番号が「305」だから、「0305」にする。あるいは、住所の番地や、建物の郵便番号を使う。これは、侵入犯に対して、「どうぞ、この数字を試してください」と、ヒントを与えているようなものです。次に危険なのが、「個人情報に関連する数字」です。自分の誕生日、家族の誕生日、電話番号の下4桁など。これらの情報は、少しの手間をかければ、第三者が入手することも不可能ではありません。また、「1111」や「1234」、「7777」といった、単純な数列やゾロ目も、総当たり攻撃の初期段階で、真っ先に試される、極めて脆弱な番号です。では、「安全な暗証番号」とは、どのようなものでしょうか。その基本は、「あなたにとって、全く意味のない、ランダムな数字の羅列」にすることです。例えば、目を閉じて、テンキーを適当に4回叩いてみる。あるいは、新聞や雑誌を開き、目についた数字を組み合わせる。このように、あなた自身の記憶や、個人情報と、全く関連性のない数字を選ぶことが、推測を困難にするための、最も効果的な方法です。そして、その番号を、絶対に忘れないように、安全な場所に記録しておくこと。これがセットで重要になります。また、ボタン式のキーボックスであれば、可能な限り、桁数を多く設定することも、セキュリティを高める上で非常に有効です。4桁よりも6桁、6桁よりも8桁の方が、組み合わせの総数が爆発的に増え、総当たり攻撃にかかる時間を、非現実的なレベルにまで引き延ばすことができます。暗証番号は、あなたの資産と安全を守る、最後のデジタルな防衛ライン。その重要性を、決して軽視してはいけません。
キーボックスの番号、その危険な決め方と安全な決め方