リフォーム費用を少しでも節約したい、あるいは、自分の手で家を良くしていくことに喜びを感じる。そんなDIY愛好家にとって、「浴室のドア交換」は、非常に挑戦しがいのあるプロジェクトに見えるかもしれません。実際に、リフォーム用のカバー工法のドアセットなども市販されており、DIYでの交換は、不可能ではありません。しかし、リビングのドアなどと違い、浴室のドア交換は、いくつかの専門的な知識と、見過ごせないリスクを伴う、難易度の高いDIYであることを、覚悟しておく必要があります。DIYで挑戦する際の、最大のメリットは、もちろん「費用の節約」です。業者に依頼すれば3万円から5万円はかかるであろう工事費が、まるまる不要になり、必要なのはドア本体の部品代だけとなります。この経済的なメリットは、非常に大きいでしょう。しかし、その裏側には、失敗した場合の、大きな代償が待っています。最大のリスクは、「防水処理の失敗」です。浴室のドア周りは、常に水がかかる、極めて重要な防水ラインです。プロの職人は、長年の経験に基づき、適切な量のコーキング材を、適切な場所に、隙間なく充填する技術を持っています。しかし、素人がこれを見よう見まねで行うと、ほんのわずかな隙間や、コーキングの厚みのムラから、水が壁の内部に、少しずつ、しかし確実に、浸透してしまう可能性があります。この漏水は、すぐには表面化しません。数年後、気づいた時には、壁の内部でカビが大量発生していたり、土台の木材が腐食して、シロアリの温床になっていたり、といった、取り返しのつかない事態を招くのです。そうなれば、ドア交換の費用とは比較にならない、数十万円、数百万円単位の、大規模な修繕工事が必要となります。また、「取り付け精度の問題」も、深刻です。水平・垂直が正確に出ていないと、ドアの開閉がスムーズにいかなかったり、隙間風が入ってきたりします。結局、何度も調整を繰り返すうちに、時間だけが過ぎていき、プロに頼んだ方が、よっぽど早かった、という結果にもなりかねません。DIYでの浴室ドア交換は、確かに魅力的です。しかし、それは、家の構造に、致命的なダメージを与える可能性をはらんだ、諸刃の剣でもあるのです。そのリスクを、あなたは、本当に、自分で負うことができますか。
DIYで浴室ドア交換は可能?そのリスクと費用の現実