ダイヤル番号は完璧に合わせた。そして、鍵穴に、確かに本物の鍵を差し込み、回そうとする。しかし、鍵は途中までしか回らない、あるいは、全く動かない。このような「シリンダー錠」に関するトラブルも、金庫が開かなくなる大きな原因の一つです。この場合、考えられる原因は、大きく分けて三つあります。「鍵自体の問題」「シリンダー内部の問題」、そして「ダイヤルとの連携の問題」です。まず、「鍵自体の問題」。長年の使用で、鍵が摩耗していたり、わずかに変形していたり、あるいは、複製した精度の低い合鍵を使っていたりすると、シリンダー内部のピンを、正しい位置に持ち上げることができず、鍵が回らなくなります。もし、手元にスペアキーがあれば、そちらで試してみてください。スペアキーでスムーズに回るのであれば、原因は、普段使っている鍵にあると特定できます。次に、「シリンダー内部の問題」です。金庫は、頻繁に開け閉めするものではないため、長期間、同じ状態で放置されることが多くあります。その間に、鍵穴から侵入したホコリや、空気中の湿気によって、内部の金属部品が錆び付いたり、固着してしまったりすることがあるのです。この場合の応急処置としては、まずエアダスターなどで鍵穴のゴミを吹き飛ばし、その後、「鍵穴専用」のパウダースプレータイプの潤滑剤を、ごく少量、注入してみるのが有効です。油性の潤滑剤は、ホコリを固めてしまうため、絶対に使用してはいけません。そして、三つ目の、最も金庫特有の問題が、「ダイヤルとの連携の問題」です。多くの金庫は、ダイヤル錠とシリンダー錠の両方が、内部で連動して、最終的なかんぬき(デッドボルト)を動かしています。ダイヤルが、ほんのわずかでも正しい位置からズレていると、たとえシリンダーに正しい鍵を差し込んでも、内部の機構が干渉し合い、鍵が回らないように設計されているのです。この場合、もう一度、ダイヤルの合わせ方を、最初から、より正確に、丁寧に行ってみてください。それでも開かない場合は、シリンダー内部の部品が破損しているなど、深刻な故障の可能性が高いです。その場合は、無理に力を加えず、専門の鍵屋に診断を依頼するのが、最善の選択となります。
鍵はあるのに開かない!シリンダー錠金庫のトラブル